
夜7時過ぎ、近所の公園を散歩していると、西の空に細くたなびく雲が、幾重にも赤く染まって、それは厳かな光景でした。
目を転じて、すでに夜の闇に溶け込もうとしている北の空を見ると、濃い雲の隙間に虹のような光のプリズムが微かに浮かんでいます。
あれは夕虹というものだろうか、あるいは夕陽を反射して雲の端が輝く彩雲だろうか、不思議なものを見る気持ちで、北の空がすっかり暗くなるまで見ていました。
夜の虹といえば、月の光によって生まれる「ムーンボウ」しか知りませんでした。それとは違う、夕陽を光源にして、暗くなりかけた空に浮かぶ虹です。家に帰って、夜の虹について調べていると、こんな話に出会いました。
ハワイには、虹を先祖のしるしと受け取る考え方があるといいます。アウマクアと呼ばれる先祖神は、さまざまな姿を借りて子孫の前に現れ、見守るのだそうです。
そういえば父の葬儀を終えて、ほっと一息ついて夜空を見上げたとき、そこに父がいるような気配を感じたのを思い出しました。もう8年も前の話です。
今年の夏は天候のせいか夜空を見上げることも少なく、星座に想いを馳せることもありませんでした。父と対話する機会が少なかったので、向こうのほうから会いに来てくれたのかと思います。
あなたが公職から身を引いて、半隠居のようなかたちで職場にいた年齢に、わたしはとうに達してしまった。しかし、わたしは日々の雑務に追われているよ。頼りない息子だったろうが、仕事はなんとかやっている。
さっき見た夜の虹を思い描いて、そう語りかけました。