犀のように歩め

自分の角を道標とする犀のように自分自身に対して灯火となれ。鶴見俊輔さんに教えられた言葉です。

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ご先祖様の話

民俗学者の柳田国男に『先祖の話』という著作があります。そのなかに「自分はそのうちご先祖様になるんだ」と言って、そのことだけを頼りに生きている老人の話が出てきます。柳田は不思議なことに、その老人を感動して見ているのです。 『先祖の話』が書かれ…

震える弱いアンテナ

花が咲くことについて、考えています。詩人の吉野弘は、花が咲くためには一定期間の闇をくぐり抜ける必要があると言いました。ぬくぬくと栄養状態の良い環境で育てられて花をつけることをわすれた茶の木が、死期を前にして一斉に花を咲かせることも書いてい…

きさらぎの梅咲く空に

福岡城址公園では梅の花が盛りを見せています。これから一層の厳しい寒さを迎えるこの時期に咲く花は、凛々しさと同時に、試練のなかに救いをもたらす力を宿しているようにも思います。 針の穴一つ通してきさらぎの梅咲く空にぬけてゆかまし(馬場あき子『か…

対話の息づかい

学校、企業や自治体などを巡って哲学対話を行っている若い哲学研究者、永井玲衣の著書『水中の哲学者たち』(晶文社)を読みました。対話の場にのぞむ著者の息づかいが伝わってくる清々しい本です。そのなかで考えさせられたエピソードを紹介します。 ある小…

花が咲くために

少し前にふれた吉野弘の詩集『花と木のうた』(青土社)のなかに「闇と花」という一文が収められていて、そこで植物が花の芽をつけるための条件を知りました。 アサガオは一定時間、連続した闇のなかにいないと、花の芽ができません。この闇は必ず継続してい…