
去年はやめていた真冬の夜の早歩きを、今年は防寒具を買い込んで敢行しています。久しぶりに夜空を見上げると、この時期の星々は、どの季節よりも美しいと感じます。
オリオン座の右肩にあたるベテルギウス、その真下に明るく輝くシリウス。さらにプロキオンへと視線を移すと、三つの星を結んで「冬の大三角」が浮かび上がります。プロキオンの少し上には、ひときわ強い光を放つ木星が見えます。来年一月上旬には、太陽・地球・木星が一直線に並ぶ「衝」を迎えるため、尋常ではない明るさなのです。
恒星どうしを結んでできる星座は、この季節、この場所に決まって姿を現します。一方で、地球とは公転周期の異なる惑星は、年ごとに違う場所に、違う表情で現れます。その存在が、夜空にささやかな変化を与えてくれるのです。
われわれの記憶も、夜空に浮かぶ星座に似ているのだそうです。
星が線で結ばれてはじめて星座として認識されるように、脳細胞の回路に電気信号が流れることで、記憶は再現されます。もっとも、その回路は固定されたものではなく、つねに組み替えられており、かつて流れていた「この辺り」を、電気が行き交うのだといいます。
信号が流れては消え、その刺激が「情報」となって、記憶はその都度立ち現れます。同じように、夜空を見上げる人の、星と星を結ぶ心のはたらきによって、星座もまた姿を現すのでしょう。
今年の冬の夜空では、冬の大三角の隣に輝く木星を含めて、「不思議な四角形」と捉える人がいるかもしれません。
われわれの記憶にも、今年の木星のように、新たな細胞の回路が現れ、古い記憶に新しい彩りを添えてくれることがあるのではないでしょうか。
今年、親戚の子どもたちに贈ったクリスマスプレゼントの絵本は、去年よりも一冊多くなりました。甥に男の子がひとり生まれたのです。
クリスマスの贈り物に、新たな彩りを添えてくれたその子は、私にとって、冬の夜空でひときわ明るく輝く木星のように思えました。