
ムラサキツユクサの花が咲いています。ツユクサよりも早く咲く、少し背の高い、三枚の花弁が特徴的な花です。透けるように薄い花びらが、朝露に濡れているのが、控えめな印象を与えます。
星野富弘さんの詩画集『四季抄 風の旅』に、ムラサキツユクサの絵を背景に書かれた「二番目に言いたいこと」という詩があります。
二番目に言いたいことしか
人には言えない
一番言いたいことが
言えないもどかしさに耐えられないから
絵を描くのかも知れない
うたをうたうのかも知れない
それが言えるような気がして
人が恋しいのかも知れない
合唱曲としても知られる詩で、梅雨空に向かって懸命に咲くこの花の佇まいに響き合うようです。
一番言いたいこと、とは言ってしまったその先のことを想像すると、恐ろしくて口に出せないことなのでしょうか。あるいは、言葉にすると別のものになってしまうのが口惜しくて、思いとどまってしまう感情なのでしょうか。
「それが言えるような気がして/人が恋しいのかも知れない」と、この詩は結ばれているので、そういう「ためらい」とも違うような気がします。
人は二番目に言いたいことを語りながら、一番言いたいことのまわりを巡っているのかもしれません。絵を描くことで、うたをうたうことで、そして恋しい人とムラサキツユクサを眺めながら言葉を交わすことで、人は一番言いたいことの近くまで行こうとしているのかもしれません。
朝の光を透かす花びらを見ていると、その心の機微こそが人の営みの美しさのようにも思えました。






