犀のように歩め

自分の角を道標とする犀のように自分自身に対して灯火となれ。鶴見俊輔さんに教えられた言葉です。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

たましいの声

河合隼雄の思想のキーワードのひとつに「たましい」があります。漢字で書く「魂」とは注意深く区別された、実体もない、時間、空間によっても定位できないけれども、その働きを確かに体験するものを、そう呼ぶのです。 若松英輔の新聞連載「言葉のちから」(…

胸の温気

批評家の若松英輔さんが、料理研究家の辰巳芳子さんから、ぜひ話しておきたいことがあると言って料理に招かれたときのことを書いています。今日(7.22)の日経朝刊(言葉のちから 辰巳芳子さんとの対話と『二宮翁夜話』)に載っていました。 辰巳さんは心の…

志村ふくみ『野の果て』を読む

志村ふくみの自選随筆集『野の果て』(岩波書店)を読みました。彼女の随筆はほとんど読んでいたつもりでしたが、未読のものも幾つか収録されていて、読み進むうち、息を呑んで何度も立ち止まり、読み戻りながら、いつくしむように文字を追いました。特に「…

夜の露草

職場に近い今の自宅に引っ越して一年になります。旧宅は神社の森に接していたので、庭には野花が豊かに自生して、ちょうど今ごろツユクサの花が咲きはじめているはずだ、などと思いを馳せてしまいます。自然に恵まれた環境で子育てをしたことは、今から思い…

ジギタリスの花

大濠公園のほとりのレストラン前に、ひときわ立派な花壇があります。公園に花壇のないのを寂しいと思った市民ボランティア「大濠公園ガーデニングクラブ」が一念発起して植栽を始め、企業の支援なども得て、今日の堂々とした姿になったのだそうです。この団…

少年のふる帽子のごとし

近所の公園の花壇に向日葵の種が植えられて、その茎が日に日に高く太く逞しくなって行きます。ちょうど昨年の今頃、引っ越してしばらくの間、向日葵の成長を見るのが楽しみでした。 列車にて遠く見ている向日葵は少年のふる帽子のごとし(寺山修司『われに五…